【短編小説】おばあちゃんはなんでも縫える
おばあちゃんはなんだって、わたしだって縫えてしまうんだ。
三島ミホ子
2025.01.23
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わたしのおばあちゃんはなんでも縫える。
自分の洋服はもちろん、紺色と若葉色でできたダマスク柄のカーテン、端切れをつぎはぎして作ったタペストリー柄のこたつ布団、黄土色の枕カバー、廊下と台所の間にかけられた木綿の暖簾、下がふんわりとしたドレスのようなエプロン、ピンク色のペイズリー柄のピアノカバー、おじいちゃんがいつも持ち歩いている巾着袋。おばあちゃんの家は、おばあちゃんが縫ったものであふれていた。
わたしが小さい頃は姉妹でおそろいのひまわり柄のワンピースを縫ってくれたし、姉の結婚式ではウェデングドレスまで縫っていた。母の晴れ着もなにかとおばあちゃんが縫ったものだった。