【Wildflowers Letter vol.19】花と本を心に、町へ出よう

自分の活動を頑張るために誰かの活動に触れることも大切ですね。
三島ミホ子 2025.07.17
誰でも

 こんばんは。最近夜のベランダが気持ち良すぎてニコチンが捗りまくっているミホ子です。

 さて、一ヶ月半に渡りお届けしてまいりましたイギリス旅行記、ようやっと最終回となりました。ここまで投げ出さずに読んでくださった皆さまに全力サンキューです。後半には昨日新宿で行われたデモに行ってきたのでその感想や芥川賞と直木賞の発表で思うこと等々。

それでは行ってみましょう。

それでは行ってみましょう。

念願のバース、そしてウルフの家へ

 パディントン駅から電車に二時間ほど揺られて着いたのは、バースという街。お風呂=bathの呼称の由来になっているのだとか。あと、映画「レ・ミゼラブル」でラッセル・クロウ演じるジャベール警部が川へ飛び降りた撮影地らしいです。歴史ある建物が多く、街の雰囲気も統一されていて個人的にはとても好きでした。ザ・イギリスといった感じでしょうか。あ、ロンドンって都会だったんだなと思いました。

なんか素敵だった坂道。

なんか素敵だった坂道。

有名な教会らしいです。

有名な教会らしいです。

 バースでは今回の旅行における二大イベントの一つである、Persephone Booksというお店に行ってきました。Persephone Booksは二十世紀初頭から半ばにかけて女性によって描かれたフィクション・ノンフィクションを復刊している出版社兼書店で、お店には自分たちで出版した書籍のみが並べられています。わたしが大好きなエトセトラブックスが書店をつくる際に参考したとのことで知って以来、絶対に行きたいと思っていたのですが、その念願がようやく叶って訪れることができました。

素晴らしい佇まい……

素晴らしい佇まい……

きゃーーーーーーーーーーー。

きゃーーーーーーーーーーー。

Instagramで二百回は見た光景が目の前に広がっていて…俺は…!

Instagramで二百回は見た光景が目の前に広がっていて…俺は…!

画角もうちょっとどうにかならんかったんか写真。

画角もうちょっとどうにかならんかったんか写真。

 ご覧の通り外観も内装も最高で、ここに住みたくなりますね。本には一冊ずつPOPがつけられていたので、これを頼りにお迎えする本を選んでいきました。

 これはあーちゃんとやっているPodcastでも少し話したのですが、日本語しか分からないわたしがどうして英語で書かれた本を買うのか、どうやって選ぶのかはあまり考えたことがなく。そこでこの機会に考えてみたのですが、買う動機はわたしのコレクター気質やいつか読めるようになるからといった楽観的思考から来るもので、選び方はもうフィーリングでしかないんじゃないかとの結論に至った次第です。本は今読むためだけに買うのではなくて、とりあえず手元に置いておくことが大事といいますか。わたしにとっては本は実用的な目的というよりも、圧倒的に娯楽的な意味合いが強いのだと思います。どちらの方がいいとかではなく。実際に今イギリスで買った本を少しずつ翻訳しているのですが、めちゃくちゃ楽しいですね。やっぱり買ってよかった。

 というわけで、Persephone Booksでは二冊の本とポストカードとポスターをお迎えさせていただきました。本当に幸せだった。また来たいです。

 そしてイギリス旅行最後に訪れたのが、もう一つの最大の目的地であり、これまたロンドンから一時間半ほど南に移動した場所にあるルイスはロッドメル村です。ここにあるのがわたしの愛するヴァージニア・ウルフと夫レナード・ウルフが共に過ごした家。聖地巡礼ってやつです。

冗談みたいに理想的な家で笑いました。

冗談みたいに理想的な家で笑いました。

ここは天国ですか?

ここは天国ですか?

五億点。

五億点。

配色天才ですね?

配色天才ですね?

 見ていただいてお分かりかと思いますが、ユートピアでした。1919年に住み始めから1941年の亡くなる時までウルフが過ごしたこの家は、今では観光地として一階部分が公開されており、家の中では各部屋ごとにいるガイドさんが観光客たちに彼女の生活や作品について解説していました。ここにいる人たち全員ウルフが好きなんだと思うと、なんて幸せな空間なんだろうと感動したものです。

帰り道に迷子になり、人っ子ひとりいない広大な草原で野生(?)の馬と目が合う。

帰り道に迷子になり、人っ子ひとりいない広大な草原で野生(?)の馬と目が合う。

 そしてこの翌日にはお昼の便でヒースロー空港から香港空港へ、そして成田空港へと向かい、わたしのイギリス旅行は幕を閉じました。

 てなわけで若干の強制終了感ありますが、この旅行記も終了です。ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。かけがえのない十日間を記録として残すことができて良かったです。

人権ファーストデモ

 久しぶりにデモに行ってきました。

 「私のからだデモ」というSRHR(性と生殖に関する健康と権利)の重要性を訴えるデモを主宰している方々が呼びかけたもので、今回の参院選における選挙活動で繰り広げられるひどいヘイトとデマに我慢ならず、参加してきました。

テレビに、SNSに、選挙ポスターにまで溢れるヘイトの山。選挙活動で、女性や外国人、LGBT、障害者、高齢者などマイノリティへのヘイトスピーチが溢れ、差別を煽動して票をとろうとするいくつかの政党が、あるいは長らくそれを放置してきた与党が、まさにその差別によって一定の支持を得ようとすらしています。(中略)今回の参院選、私たちの社会は大きな岐路に立っています。今、この現実がつらい。でも、このままでは、もっと酷いことになってしまうかもしれない。そんな今こそ、集まりませんか。私たちが今ここで生きていること、いなくなるなんて決してないこと、そして私たちは、すべてのひとの人権を保障する政治を求めていることを、共に表明しませんか。
私のからだデモHPより

 正直天候のせいか体調があまり良くなくて直前まで行くかどうか悩んでいたのですが、やらない後悔よりやる後悔だ!と己を鼓舞し、気合いでシャワーを浴びて(帰宅後すぐに寝られるよう)出陣。結果、やはり目眩がすごくて途中退出してしまったのですが、行って良かったです。自分と同じ気持ちを抱いている人が可視化されるのって安心するし、皆さんのスピーチが心強く、心が折れそうになる日々ですが、また頑張るパワーをもらいました。自分の活動を頑張るために誰かの活動に触れることも大切ですね。デモの様子はこちらのYouTubeからアーカイブが見られますので、お時間ある際にぜひ見てみてください。

 たまに人にデモに行くことがあると言うと、驚かれます。案に思想強い系だと引かれているのでしょうか。まぁ、それは別に構いませんけどね。声を上げることが、もっと身近なものになればいいのになと思います。もちろんデモをする必要がない世の中が一番だとは思いますが、なかなかそうなりそうにありませんので。

”該当作なし”

 昨日は第173回芥川賞・直木賞の発表日でもありましたね。そして結果はまさかの両賞ともに"該当作なし"。なんといいますか、わたしとしては今年の流行語大賞になりそうなほどパワーワードです。

 この結果を受けて、ネットはかなりザワつきました。出版業界の不況や本屋の閉店が深刻化している昨今においてなんということだ、ということです。確かに芥川賞・直木賞といえば大きな反響がある文学賞であり、これが該当作なしとなると本屋は予定していた売り場や売上計画が狂うので大打撃です。

 しかし、SNSを見ているとショックを受けている声が多いのと同時にじゃあ自分たちで賞を決めてやろう!との動きが早くも見られ、個人的には普段より盛り上がっているのでは?とすら感じています。その瞬発力も、反骨心も最高です。元々そこまで毎回受賞作を読むのを楽しみにしていたり、売上が左右される本屋にいたりしたわけではないのでそんなことを言えるのかもしれませんが、わたしがまだ書店員だったらそんなことできるのか、やるとしたらどんなことをやるのかと考えを巡らせてワクワクすらしています。

 あと、王谷晶さん『ババヤガの夜』がダガー賞を、柚木麻子さん『BUTTER』がイギリス文学賞を総なめにしているこのタイミングでなんだか不思議な現象な気もしますね。『ババヤガの夜』なんて26万部重版したらしいじゃないですか。やばすぎません?久しく聞いていない規模です。河出さんすごい。ちなみに両タイトルともミホ子のお墨付きでバチバチに面白いので、このニュースレターを読んでくださっている方々は全員読んでいただいて問題ありません。というより読んでください。

 とにかく、大変な状況ですが、こんな逆境こそ好機と捉えてガンガンやっちゃってほしいです。そしてこれをきっかけに本屋に多くの人が足を運ぶことを願っています。

誰でも読めるようになりました

 最後にお知らせです。このWildflowers Letterですが、以前まではメールアドレスをご登録いただいた方のみ読めるようになっていたのですが、今月からもれなくどなたでもお読みいただけるようになりました。なので気軽に読んでいただけたら嬉しいです。引き続き、ご登録していただいている方には直接アドレス宛にニュースレターが届きますのでご安心ください&ご登録がまだの方はぜひよろしくお願いいたします。

 さ、今回は写真も盛りだくさんで長くなりましたが、こんなところで終わりにしたいと思います。いい夢みろよ!

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